コラム

総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)とは?作り方や必要性について解説

総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)とは、取引を勘定科目ごとに記録した帳簿です。決算簿のなかでも主要な帳簿なので、正確に作成することが求められます。総勘定元帳はなぜ重要な書類なのか、また、作り方についてまとめました。ぜひ参考にしてください。

総勘定元帳とは勘定科目別に記録した帳簿のこと

総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)とは、すべての取引を勘定科目別に分けて記載した帳簿です。勘定科目ごとにページを分け、その勘定科目に該当する取引が生じたときに記載します。

一方、仕訳帳(しわけちょう)は、取引が発生した日付に従って記載する帳簿です。勘定科目などの要素に分けずに日付順に記録するため、1ページから順に使っていきます。

なお、総勘定元帳と仕訳帳も複式簿記には欠かせない帳簿です。正確に記録することで、税務処理がしやすくなります。

仕訳帳をベースに作成する

取引が生じたときは、先に仕訳帳を作成し、その後、仕訳帳をベースに総勘定元帳を作成しましょう。また、決算期末になると、総勘定元帳をベースに損益計算書などの決算書類を作成します。

仕訳帳に間違いがあると、総勘定元帳や決算書類にも間違いが生じかねません。仕訳帳を記載するときは、間違いがないか何度も確認しましょう。

総勘定元帳が必要な5つの理由

総勘定元帳は仕訳帳に記録した取引を、勘定科目別に分けて記載し直した帳簿です。つまり、記載されている内容は仕訳帳と何ら変わりはありません。また、仕訳帳から転記する際に写し間違いが生じるリスクもあります。

なぜ手間をかけ、あえてリスクを冒してまで総勘定元帳を作成しなくてはいけないのでしょうか。その答えは、以下の5つの理由に隠されています。

  • 1.法律で作成が義務付けられている
  • 2.勘定科目ごとの取引や財務状況が一目でわかる
  • 3.決算書を作成するベースになる
  • 4.税務調査や融資の際に提出を求められる
  • 5.青色申告特別控除が適用される

それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。

1. 法律で作成が義務付けられている

そもそも総勘定元帳の作成は、法律で義務付けられているものです。そのため、面倒だからなどの理由で総勘定元帳を作成しないという選択肢はありません。

また、総勘定元帳は保管する義務もあります。所得税法では7年の保管義務、会社法では10年の保管義務が定められているので、正しく作成し、10年間は保管するようにしましょう。

2. 勘定科目ごとの取引や財務状況が一目でわかる

例えば、接待交際費について考えてみましょう。資本金1億円以下の中小企業においては、事業年度あたり800万円まで(初年度に関しては事業年度内の月数×800万円÷12まで)の接待交際費は全額損金として参入可能です。

しかし、仕訳帳では勘定科目ごとに分けて記録していないので、今年度はどの程度の接待交際費を使ったのか知りたいときは、該当する取引を一つひとつピックアップして計算しなくてはいけません。

総勘定元帳があると、勘定科目ごとにどの程度の取引が生じたのか一目で理解することができます。接待交際費にいくら使ったのかもわかるので、予算を組む目安として活用できるでしょう。

また、口座からの支出や手元にある現金なども一目でわかるため、財務状況も把握しやすくなります。

3. 決算書を作成するベースになる

決算期末には決算書を作成しますが、その際、総勘定元帳をベースにするとスムーズに作成できます。決算期末になるまでに、総勘定元帳を作成しておきましょう。

4. 税務調査や融資の際に提出を求められる

税務調査の際に、総勘定元帳の提出を求められることがあります。事前に作成しておくなら、求められたときにスムーズに提出できるでしょう。また、金融機関から融資を受ける際にも、総勘定元帳の提出を求められることがあります。

5. 青色申告特別控除が適用される

青色申告をするためには、複式簿記で記帳することが求められます。総勘定元帳は複式簿記で記帳するためには欠かせない帳簿のため、作成しておきましょう。

なお、青色申告をすると青色申告特別控除として最大65万円の所得控除を受けることが可能です。控除額が増えると課税対象額が減るため、節税することにもつながります。

総勘定元帳の作り方

総勘定元帳を作成する方法には、次の3つがあります。

  • 仕訳帳から転記する
  • エクセルで作成する
  • 会計ソフトで作成する

それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

仕訳帳から転記する

仕訳帳から、取引ごとに勘定科目別に分けて転記する方法があります。手書きで転記するため、写し間違いがないようにしましょう。

勘定科目が1つのとき

取引に含まれる勘定科目が、1つのときの仕訳例を紹介します。例えば、4月8日に8,000円の商品Aが現金で売れたとしましょう。仕訳帳には以下のように記帳できます。

日付 借方 貸方 摘要
4月8日 現金 8,000円 売上 8,000円 商品A

この取引において使用されている勘定科目は「現金」と「売上」です。現金の残高が10万円、売上の繰越分が20万円あったときは、総勘定元帳の「現金」と「売上」のページに以下のように記帳します。

<現金のページ>

日付 相手勘定科目 摘要 借方 貸方 残高
    繰越     100,000円
4月8日 売上 商品A 8,000円   108,000円

<売上のページ>

日付 相手勘定科目 摘要 借方 貸方 残高
    繰越     200,000円
4月8日 現金 商品A   8,000円 208,000円

勘定科目が複数のとき

取引に含まれる勘定科目が、複数のときの仕訳例を紹介します。4月9日にB社から先月の売掛金10万円が銀行口座に入金されたとしましょう。この際、振込手数料として220円が発生し、売掛金から差し引かれたとします。仕訳帳には以下のように記帳できるでしょう。

日付 借方 貸方 摘要
4月9日 普通預金 99,780円 売掛金 100,000円 商品Aの売掛金(B社)
  手数料 220円      

勘定科目「売掛金」に対して、「普通預金」と「手数料」の2つの勘定科目が用いられることになります。このような仕訳を総勘定元帳に転記するときは、相手勘定科目に「諸口」を用いましょう。

<売上のページ>

日付 相手勘定科目 摘要 借方 貸方 残高
    繰越     192,000円
4月9日 諸口 売掛金回収   100,000円 92,000円

エクセルで作成する

エクセルで総勘定元帳を自作すると、手書きせずに済みます。横軸に日付と相手勘定科目、摘要、借方、貸方、残高の欄を作成しましょう。

また、借方に記入した数字が残高にプラスに作用、貸方に記入した数字が残高にマイナスに作用するように指定します。この際、仕訳帳のページ数を記入する「仕丁」の欄を設けておくと、照らし合わせて確認しやすくなるでしょう。

会計ソフトで作成する

会計ソフトであればすでに枠組みも表計算も設定されているので、エクセルより便利です。また、仕訳帳と連動させて総勘定元帳を自動記入させることもできます。記帳の手間を削減したい方は、会計ソフトの利用も検討しましょう。

総勘定元帳を作る際の注意点

総勘定元帳を手書きやエクセルで作成するときは、転記ミスに注意しましょう。定期的に整合性を確認する習慣をつけることで、大きなミスを回避できます。

また、総勘定元帳に仕訳帳のページ数を記載する欄を作ることもおすすめです。帳簿を照合しやすくなり、ミスを発見しやすくなるでしょう。

まとめ

総勘定元帳の作成負担を軽減したい方、また転記ミスを回避したい方は、アウトソーシングサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

帳簿作成を外注することで、慌ただしくなりがちな決算期末も余裕をもって迎えることができます。MASONにぜひお気軽にお問い合わせください。

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